現在日本の都市で多く発生しているネズミの被害というのは、そのほとんどがクマネズミによる被害だといわれています。
しかも、毒エサを食べてくれないとか食べても効果がないといったスーパーラットというタイプも増えています。
ここでは、クマネズミが都市で増えてきた理由についてご紹介してみたいと思います。
クマネズミが増えてきた背景
警戒心が強い
クマネズミは、その他のハツカネズミやドブネズミに比べると、非常に警戒心が強いネズミです。ネズミ用の殺虫剤や捕獲器を使っても、簡単には引っかかりません。
また、現在市販されている殺虫剤は、ドブネズミを対象としたものが多く、クマネズミには効果がないものもあります。
その一方では、かって多く生息していたドブネズミの場合、クマネズミほど警戒心が強くないという習性があるために、害虫対策の殺虫剤や捕獲器に容易に引っかかります。
そうした事情もあり、ドブネズミの絶対数よりもクマネズミの絶対数のほうが多くなっています。
気密化したビルにも侵入しやすい
クマネズミは、その祖先が熱帯地方のジャングルに生息していた経緯もあり、木の上にも容易によじ登ることが可能です。一方、ハツカネズミやドブネズミは、クマネズミのような立体的な行動ができずに、あくまでも平面的な行動しかしません。
そうしたネズミの習性などから、クマネズミは配管をよじ登ってビルの2F以上にも容易に駆け上がることができます。一方、かってビルでよく見かけたというドブネズミの場合、気密性が優れたビルが多くなっていることなどから、穴を掘ってビルに侵入することすらできません。
ビルとクマネズミ
クマネズミにとって住みやすいビル
クマネズミはドブネズミに比べると小さいので、寒さに弱いという習性があります。
従って、気密性の高い高層ビルは、クマネズミにとっては最高に住みやすい環境といえるのです。おまけに、クマネズミの天敵ともいえるドブネズミがビルに生息しなくなっていることなどからも、生命が危ぶまれるといった危険性もほどんどありません。
さらには、ビルには排水管や配電管などが縦横無尽に張り巡らされています。従って、元々平面的な行動よりも立体的な行動が得意なクマネズミにとってみれば、配管をよじ登ることなどはたやすいことです。
従って、ビルの最上階でクマネズミを見かけたという報告すらあるくらいです。
殺虫剤に対する抵抗性が強い
近年の高層ビルでは、ネズミなどの害獣や害虫を定期的に防除する法律が厳しくなっています。
定期的に防除作業が行われているとはいうものの、ドブネズミには効果はあってもクマネズミには効果がないといわれています。それだけクマネズミの場合、防除剤に対する抵抗性が強いということがいえます。
さらに、抵抗性の強いクマネズミ同士が繁殖行為を行い、さらに抵抗性の強いスーパーラットと呼ばれるクマネズミがどんどんと誕生しています。
クマネズミの生態能力
繁殖能力について
クマネズミは、生まれてから3か月〜4か月すると子供を産むことが可能です。また妊娠期間は、21日〜24日とされています。さらに1回の出産で生まれる子供は5匹〜6匹といいます。
人間の出産に比べると、驚くようなスピードですが、その代り寿命が1年〜2年程度しかありません。警戒心が強いといいながらも住居に平気で侵入してくることなどからすると、相当子孫を残すということに対しては命がけなのかもしれません。
そして、屋根裏や押し入れ・天袋の中・壁の裏などに断熱材や布・布団の綿などを持ち込んで巣作りをするといった習性があります。
食性や行動習性について
クマネズミが好んで食べるものといえば、基本的には何でも食べるという雑食性の生き物です。
ただし、そうした中でも好物といえるのが穀物や果実・昆虫・植物の葉や茎などになります。また、寒さに弱い生き物でもあるので、寒暖の差がある程度安定している住居に侵入することがよくあります。
また、住居というのはゴキブリがいたり食べ物が見つけやすいということなども、侵入してくる理由として挙げられます。さらには、クマネズミの天敵に相当するヘビやイタチ・ネコなどからも身を守りやすいといった理由なども挙げられます。