昔はビルにクマネズミがよく出没するといわれていましたが、近年は住宅地域でもクマネズミの進出が目立っているといいます。
要するに、それだけクマネズミの行動範囲が広がっているということを意味しています。
またそれと同時に、クマネズミの絶対数自体も拡大しているということも表しています。ここでは都市とネズミの関係についてご紹介してみたいと思います。
目次
昭和のネズミ被害と都市
クマネズミの台頭
東京都福祉保健局がネットに掲載しているPDFファイル[都民のためのねずみ防除読本]には、東京という大都市にはびこるネズミの歴史のようなものが掲載されています。
それによると、昭和42年頃にはドブネズミが9割を占めていたのに対して、近年ではクマネズミが9割を占めているというのです。
こうした報告によると、ドブネズミからクマネズミへとネズミの種類が変わっているということが分かります。確かに、ビルの害虫防除の法律が施行されて厳しくなっていることから、毒性に強いクマネズミの割合のほうが高くなることは容易に理解できます。
環境適応能力の高いクマネズミ
[都民のためのねずみ防除読本]には、クマネズミの環境適応能力の高さ故に、90年代にはネズミの大半を占めるようになっていると書かれています。
要するに、熱帯のジャングルが原産地でもあるクマネズミは、冬でも暖かい高層ビル内で数が増えていったのです。
また、殺虫剤に対する抵抗力の強いクマネズミだけが生き残って繁殖を繰り返したことによって、スーパーラットなる生命力の強いクマネズミが台頭するようになったというのです。さらには高層ビルだけでなく、絶対数が増えるにつれて住宅街にも進出しているという状況がわかります。
ネズミにとって、いつから都市は住みやすくなった?
クマネズミの特徴
戦後の都市開発によりクマネズミは少なくなったようですが、近年徐々に増えたといわれています。例えば、高層ビル内には排水管や配電管が縦横無尽に配管されていることなどから、上り下りが得意なクマネズミにとっては住みやすい環境といえます。
ビルの2F以上で見かけるネズミというのは、そのほとんどがクマネズミであると考えて良いでしょう。ネズミは病原菌やダニを運んでしまうので、ゴキブリなどよりも厄介な害虫といえるのかもしれません。
ドブネズミの特徴
都会に生息しているネズミといえば、真っ先にドブネズミが連想されます。確かに、下水道や地下がテリトリーなので、都会は格好の住処といえるのかもしれません。ところが近年、ビルなどでは害虫防止条例が厳しくなってきたことから、害虫駆除が頻繁に行われるようになりました。
ドブネズミの場合、クマネズミ程警戒心が強くないので、防虫剤の餌食となりやすいのです。そうしたことから、クマネズミの絶対数よりもドブネズミの絶対数のほうが少なくなっていったのだそうです。
都市のネズミが駆除され始めた時期
戦後の数年間はドブネズミ
戦後の数年間は、都会におけるドブネズミの比率が圧倒的に高いため、ドブネズミの天下になるとさえいわれていました。それはどうしてなのかと申しますと、ドブネズミの習性にマッチした環境であったからでもあります。
例えば、ビルの彼方此方の残飯をあさったり、地面に穴を掘りながらビルや住居にたやすく侵入できたというのです。
ところが、昭和39年の東京オリンピックが開催される頃にもなると、都市開発が次第に進んで地面に穴を掘ることすらできなくなってしまい、残飯もそう簡単にはあさることすらできなくなったといわれています。
都市のビルに適応しやすいクマネズミ
ドブネズミが都市に住みにくくなるにつれて、それにとってかわったのがクマネズミです。クマネズミは、警戒心が強いため、殺虫剤やワナにもかかりにくいといった特徴があります。さらには高層ビルの2F以上の階にも、配管などを伝って簡単によじ登ることができます。
そのため、クマネズミは高層ビルの最上階にまで出没するようになったといわれています。おまけに隙間風や冷気がビルの中には入りにくいことなどから、クマネズミにとっては寒い冬の季節というのはビルが格好の住処となります。
クマネズミについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をお読み下さい。
まとめ
クマネズミは、ドブネズミという自分よりもずっと大きな天敵がいなくなるにつれて、さらに勢力を拡大しています。
イエネズミで最もやっかいなクマネズミへの対策を、重点的に進めていく必要があります。